|
病気の治療に役立ちそうな薬が発見されたり設計されると、まず研究室で動物を使った実験などが行われます(前臨床試験)。前臨床試験では薬がどのように作用してどのような効果をもたらすのか、生殖能力や子孫の健康に影響を及ぼすような毒性がないかといった情報を集めます。多くの薬は毒性が強すぎたり有効性がないことが明らかになり、この段階で失格になります。
前臨床試験の終了後も有望な薬については、治験薬として政府機関に申請を行います(訳注:米国では食品医薬品局[FDA]、日本では厚生労働省)。治験薬は人間での臨床試験でさらに多くの試験を受けます。臨床試験は薬の有効性を明らかにするだけでなく、副作用の種類や発生頻度、これらの副作用を起こしやすくさせる要因(年齢、性、他の疾患、他の薬物の使用など)の解明も重視しています。
これらの試験で薬の有効性と安全性が証明されると、新薬としての申請(動物と人間での試験データ、薬の製造工程、添付文書情報、製品ラベルなど)を政府機関に提出します。政府機関ではすべての情報を審査し、その薬が有効で安全な製品として販売できるかどうかを決定します。承認された薬は患者の治療に使えるようになります。米国の場合、このプロセス全体で約10年間かかります。平均的な目安としては、研究室で検討した4000種類の化合物のうち約5種類だけが人間での試験を受ける段階へと進み、人間で試験された薬5種類のうち承認されて販売できるようになるのはわずか1種類程度です。
新薬が承認されると、メーカーは新薬の使用をモニタリングし、販売前には見つけられなかった新たな副作用があれば、すぐに政府機関に報告しなければなりません。医師や薬剤師は、新薬のモニタリングに参加するように奨励されています。こうしたモニタリングが重要な理由は、薬を販売する前はたとえ包括的な試験を行ったとしても、比較的よくみられる副作用(1000回に1回程度起こるもの)しか検出できないからです。1万回に1回起こるような(あるいはもっと頻度が低い)重大な副作用は、多くの人々が薬を使うようになるとき、つまり販売後にしか発見できません。薬が重大な副作用を引き起こす証拠が新たに見つかった場合には、承認が取り消されることがあります。たとえば、ダイエット補助薬のフェンフルラミンは、服用した一部の人に重度の心臓障害が生じたことから販売中止になりました。
|